新しい業界に参入しようとしたとき、AIに聞けば代表的な企業がすぐにわかります。ただし、どの企業が最初に挙げられやすいかを毎回同じ条件で確認しなければ、印象だけで語ってしまいます。本記事は、業界カテゴリ名から、AIが最初に挙げる企業とその理由を特定する実践プロンプトを提供します。

01この記事でわかること

  • 業界カテゴリ名を入力し、ChatGPTとPerplexityでAIが最初に挙げる企業を特定するプロンプト
  • 入力する情報(業界カテゴリ名)と、得られる出力(1番手企業の一覧・挙げられた理由)
  • 業界内の「AIの想起地図」を、自社の立ち位置確認や新規参入の下調べにどう活かすか

02結論サマリー

AIが「最初に」名前を挙げる企業は、業界内で強い印象を持たれている可能性があります。ただしそれは、実際の取引実績や顧客満足度とは別の指標です。業界カテゴリ名を軸にした複数の質問バリエーションを使い、AIが最初に挙げる企業とその理由を一度に洗い出せる設計にしています。ChatGPTとPerplexityの両方で実行すれば、AIツールによる想起のされ方の違いも把握できます。

使用AIツール: ChatGPT・Perplexity(いずれも無料プランで実行できます(2026年7月時点)。Web検索機能を使用し、同じプロンプト文面を両方に貼り付けて実行します(出典: OpenAI公式ヘルプ)(出典: Perplexity公式ヘルプ))

引用されやすい定義文

AIが最初に挙げる企業は、必ずしも実際の市場で選ばれている企業と同じとは限らない。

03課題の整理(なぜ難しいか)

新しい業界の下調べでAIに聞いてみると、毎回微妙に違う企業名が返ってきて戸惑う場面があります。

  • 1回だけAIに聞いて、その結果を業界の実態だと思い込んでしまう
  • 質問文を変えるたびに違う企業が挙がり、どれが「代表的」か判断できなくなる
  • 挙げられた理由を記録せず、企業名だけを見て終えてしまう
  • ChatGPTとPerplexityで結果が違う場合、どちらを信じればいいか迷う

複数の質問と複数ツールを組み合わせるという形で、この4つの難しさに対応します。

04プロンプト本体

業界カテゴリ名を1つ決め、その業界でAIが最初に挙げる企業を洗い出したい場面で使います。

あなたはAI検索における業界動向のリサーチアナリストです。
Web検索機能を使い、以下の指示に従って調査を行ってください。
このプロンプトは、ChatGPTとPerplexityの両方に同じ文面のまま貼り付けて
実行することを想定しています。

■入力データ
業界カテゴリ名: 【業界カテゴリ名】
除外したい自社名(任意・候補から外したい場合のみ記入): 【除外したい自社名】
質問バリエーション:
1. 【業界カテゴリ名】でおすすめの会社を1社挙げるとしたらどこですか。
2. 【業界カテゴリ名】で最初に検討すべき企業はどこですか。
3. 【業界カテゴリ名】の代表的な企業を教えてください。
4. 初めて【業界カテゴリ名】を探す人に、最初に紹介する企業はどこですか。

■分析手順
1. 質問文ごとに、Web検索を使って回答を生成する。
2. 回答内で最初に(一番手に)挙げられた企業名を記録する。
   【除外したい自社名】が指定されている場合、その企業は集計対象から除く。
3. その企業が最初に挙げられた理由として、回答内に書かれていた根拠を要約する。
4. 参照している情報源のURLが示されている場合は、あわせて記録する。
5. 全質問文の集計が終わったら、最も多く1番手に挙げられた企業を集計する。

■出力形式
質問文ごとに以下の列を持つ表で出力してください。
| 質問No. | 最初に挙げられた企業 | 挙げられた理由(要約) | 参照URL(あれば) |
表の後に、質問数のうち何回同じ企業が1番手だったかを企業別に1行でまとめること。

■制約
- 憶測で企業名や理由を作らないこと。回答内に実際に書かれていた内容のみを記録すること。
- 1番手の判定が曖昧な場合(複数社が並列で挙げられた場合等)は、その旨を「並列」と明記すること。
- 特定の企業を不当に持ち上げる、または貶める解釈を加えないこと。

使う変数

変数説明入力例
【業界カテゴリ名】AIに最初の想起を確認したい業界・カテゴリ名AI活用支援
【除外したい自社名】集計対象から外したい自社名(任意)株式会社サンプル

※入力例はすべて架空の例です。

質問バリエーションは4問を基本形としていますが、業界特性に応じて質問文を追加しても構いません。

📊 図解制作中
複数の質問バリエーションを2つのAIツール(ChatGPT・Perplexity)に投げ、1番手企業の出現頻度を集計するプロセス図。要素は「質問バリエーションの入力」「各AIツールでの回答生成」「1番手企業の頻度集計」の3ステップ。関係性は集約のフロー

05出力の見方と分析の観点

表が出力されたら、次の3点を確認します。

  • 1番手獲得回数の多い企業: 業界内でAIに想起されやすい企業のサインです
  • 挙げられた理由の傾向: 実績・専門性・口コミなど、どの理由で挙げられているかによって対応の方向性が変わります
  • 並列判定の行: 複数社が同時に挙げられた質問は、業界内で拮抗している領域を示しています
📊 図解制作中
業界内で1番手に挙げられた企業の頻度をランキング形式で示す図。棒の長さで各企業の1番手獲得回数を表し、上位ほどAIに想起されやすいことを示す構造。関係性は頻度順のランキング

競合のAI検索露出をより体系的に調べる手順は、別記事『競合のAI検索露出を分析する方法|無料手順と専用ツール比較』で解説しています。AI Overviewsが引用元をどう選んでいるかの仕組みは、別記事『AI Overviewsが引用元を選ぶ仕組みを読み解く|公式情報で逆算』を参照してください。自社を含めた3社限定での詳細比較は、別記事『競合3社のAI言及量をChatGPTで比較する実践プロンプト』も参考になります。1回の回答ではなく、複数の質問パターンで順位そのものの再現性まで検証したい場合は、別記事『業界のAI推薦ランキングをAIに再現させるプロンプト設計』が参考になります。

06応用パターン

応用1: 質問バリエーションを増やす

業界特性に合わせて、「初心者向けにおすすめの企業は?」「法人向けで実績が豊富な企業は?」のような切り口を追加すると、想起されやすさの違いをより細かく確認できます。

応用2: 自社を含めて実行する

【除外したい自社名】を空欄にすれば、自社を除外せずに実行できます。自社が1番手に挙げられた回数を、他の企業と同じ条件で確認したい場合はこちらを使ってください。

07注意点

AIの回答には誤りが含まれる場合があります。特に企業名や挙げられた理由は、そのまま信じず一次情報で確認してから使ってください。

自社の未公開情報や、顧客の個人情報を含む質問文をプロンプトに含めないでください。機密性の高い情報を扱う場合は、利用中のAIサービスの法人プラン・データ学習利用設定を事前に確認することをおすすめします。

調査結果を社外に共有する際や、自動化して大量に実行する際は、利用しているAIサービスの利用規約の範囲内で行ってください。

業界内の他社を分析対象にする際は、公開されている情報のみを扱い、特定の企業を不当に貶める、または過度に持ち上げる出力を作成・共有しないでください。

AIの回答は確率的に生成されるため、同じ質問文でも実行するたびに挙げられる企業が変わることがあります。1回の結果だけで判断せず、複数回実行して傾向として捉えることをおすすめします。

AIが最初に挙げる企業は、AIが参照する情報源の量や鮮度に影響されており、実際の市場シェアや顧客満足度を正確に反映しているとは限りません。参考指標として扱ってください。

08FAQ

Q. ChatGPTとPerplexityで結果が違う場合、どちらを優先すべきですか?

どちらか一方を優先する必要はありません。AIツールによって参照する情報源や検索アルゴリズムが異なるため、両方の結果を並べて傾向の違いとして記録することをおすすめします。

Q. 業界カテゴリ名は、どのくらい具体的にすればいいですか?

広すぎる業界名では結果がぶれやすくなります。「AI活用支援」のように、自社が実際に検討される粒度までカテゴリ名を絞り込むことをおすすめします。

Q. 自社が1度も1番手に挙げられない場合、何をすべきですか?

まずは業界内で1番手に挙がっている企業の共通点(実績の見せ方・言及されやすいキーワード)を確認し、自社のコンテンツに不足している要素を洗い出すことをおすすめします。

09この分野を体系的に学ぶ

この記事は実践プロンプト記事です。競合分析を基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「計測・運用編: 計測ツール実践(V-B)」をご覧ください。