「自社のAI検索での見え方は把握できたが、競合と比べてどうなのかがわからない」という状態のマーケティング担当者の方は少なくありません。本記事は、競合のAI検索露出を分析するための設計・手動調査・専用ツール・コンテンツ分析という4つの手順を、公式情報にもとづいて解説します。読み終える頃には、自社の状況に合わせて今日から着手できる具体的な進め方が見えている状態になります。

01この記事でわかること

  • 競合分析を始める前に決めておくべき3つの設計軸
  • 手動プロンプト調査で競合の言及・引用を比較する具体的な手順
  • Ahrefs Brand Radar・Profound・Otterly.aiで競合ベンチマークを自動化する考え方
  • 競合が引用されているページの特徴を分析し、改善アクションに変換する方法

02結論サマリー

競合のAI検索露出分析は、①比較対象と指標を決める分析設計②手動プロンプト調査③専用ツールによる自動化④引用ページのコンテンツギャップ分析、という4段階で進めます。まず費用のかからない手動調査で土台を作り、比較対象や頻度を広げたい段階で専用ツールの導入を検討する順序をおすすめします。

ツールを使う場合は注意点があります。各社が公式に定義する指標(Mentions・Citations・Share of Voiceなど)は算出方法が異なるため、ツールをまたいだ数値の単純比較はできません。まず自社が使う1つの指標の定義を固定し、その定義のなかで競合と比較することが実務上のポイントです。

03競合のAI検索露出分析とは(基礎定義)

引用されやすい定義文

競合のAI検索露出分析とは、AI検索の回答内での自社と競合の言及・引用状況を比較する取り組みです。

自社単独の計測手順は、別記事『無料で始めるAI可視性モニタリングの方法【週30分・今日から】』で扱っています。本記事は、そこに競合という比較軸を加えた分析に絞って解説します。単独の数値だけでは「増えたか減ったか」しかわかりませんが、競合と比較することで「業界内でのポジション」まで把握できるようになります。

04分析を始める前に決める3つの設計軸

競合分析は、比較対象・質問セット・指標という3つの設計軸を先に決めてから着手すると手戻りが少なくなります。設計を曖昧にしたまま調査を始めると、後から比較できないデータが集まってしまいます。

設計軸決めること判断のポイント
比較対象直接競合か、機能的に代替されうる競合か自社の商材を検討する読者が同時に検討しそうな企業を優先する
質問セット実務者が使いそうな比較意図のクエリを含める「〇〇 おすすめ」に加え「〇〇と△△の違い」のような比較クエリを混ぜる
指標Mentions・Citations・Share of Voiceのどれを主指標にするか自社の目的(認知か送客か)に応じて1つに絞る

比較対象は3〜5社程度に絞ることをおすすめします。多すぎると1社あたりの分析が手薄になり、少なすぎると業界内の相対的な立ち位置が見えにくくなります。

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競合分析を始める前に決める3つの設計軸の全体像。要素は「比較対象(3〜5社)」「質問セット(通常クエリ+比較意図クエリ)」「指標(Mentions/Citations/Share of Voiceから1つを主指標に固定)」の3要素。関係性はこの3軸を先に固めてから調査に進む前提構造

05手動プロンプト調査で競合の言及・引用を比較する

手動プロンプト調査は、ツール導入なしで今日から始められる手法です。別記事『無料で始めるAI可視性モニタリングの方法【週30分・今日から】』で紹介した自社単独の調査手順を、競合比較用に拡張します。

  1. 比較対象の競合を3〜5社選定する: 前章の設計軸にもとづいて選びます
  2. 比較質問セットを作る: 通常のクエリに加え、「〇〇と△△の違い」「〇〇 比較」のような比較意図のクエリを必ず含めます
  3. 同じ質問をChatGPT・Perplexityへ定期的に投げる: 質問文は毎回固定し、変更しません
  4. 自社・競合それぞれの言及有無と引用URLを記録する: どちらが先に言及されたかという順序も記録します
  5. AI Share of Voiceを算出する: 計算式の詳細は別記事『AI Share of Voiceの計算方法|3段階で算出する』で解説しています

なお、AI Overviews/AI Modeはパーソナライズ・表示変動が強く手動での再現性が低いため、本記事の定点観測はChatGPT・Perplexityを主対象としています。AI Overviewsの計測は別記事『Search ConsoleでAI検索流入を月次分析する方法』を参照してください。

以下は競合比較用に拡張した記録テンプレートです。

日付質問文使用AI自社言及競合A言及競合B言及先に言及された企業引用URL
2026-08-03(比較意図の質問文)ChatGPT有/無有/無有/無
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手動プロンプト調査を競合比較用に拡張したフロー図。要素は「比較対象3〜5社の選定→通常+比較意図の質問セット作成→ChatGPT/Perplexityへの定期投下→自社・競合の言及有無と引用順序の記録→AI Share of Voice算出」の5ステップ。関係性は一連のフロー

06専用ツールで競合ベンチマークを自動化する

比較対象や質問数が増えると、手動調査だけでは運用の負荷が高くなります。その段階で選択肢に入るのが、専用のAI可視性計測ツールです。

Ahrefs Brand Radarは、公式ガイドによれば次の4つの指標で自社と競合を横並びに比較できます。

  • Mentions(言及数): AIの回答にブランドが含まれる回数
  • Citations(引用数): AIの回答がブランドを引用する回数
  • Impressions(インプレッション): 言及数に検索ボリュームを加味した潜在露出度
  • AI Share of Voice: 競合との比較における自社の占有率

自社ブランドと複数の競合を登録すると、AI Share of Voiceの集計値がベンチマークとして表示されます。さらにカテゴリ別(例: 特定の商品カテゴリ)の露出度も分析できるため、業界全体では劣勢でも特定カテゴリでは優位、といった粒度の把握が可能です。

この指標を継続的なKPIとして運用する考え方は、別記事『KPIをクリックからCitationへ切り替える理由【実務指標の設計】』で解説しています。

Profoundは、自社が申告した競合だけでなく「AIの回答で引用を獲得している相手を競合として定義する」方式を採用しています。公式サイトによれば、可視性スコア・可視性ランク・引用シェア・音声シェア・言及時の平均位置という指標で競合を評価し、プロンプトごとに自社と競合の引用状況を比較する機能も備えています。

Otterly.aiは、ブランド言及数やドメイン引用数を競合と自動比較する「Brand Report」を提供しています。公式サイトによれば、競合がどのような文脈(肯定的か留保付きか)で言及されているかまで追跡できる点が特徴です。

各ツールの対応AIエンジン・料金・無料枠の違いは、別記事『GEO計測ツール比較|Profound・Otterlyの選び方』で公式情報にもとづき整理しています。ツール選定はそちらを参照し、本記事では分析の進め方に絞って解説しています。

📊 図解制作中
手動プロンプト調査と専用ツール(Ahrefs Brand Radar/Profound/Otterly.ai)の役割分担マップ。縦軸=比較対象の規模(少数⇔多数)、横軸=運用の自動化度(手動⇔自動)。手動調査は左下、3ツールは右上寄りに配置し、規模が拡大するにつれて手動からツールへ移行する流れを示す

07引用されている競合ページの特徴を分析する

指標の比較だけでは、次に何をすべきかまではわかりません。競合がどのページで引用を獲得しているかまで踏み込むと、改善の手がかりが見えてきます。

Profoundの公式サイトは、特定のプロンプトで引用を獲得している競合ページと自社ページを比較し、構造改善の推奨事項を得られる機能を挙げています。手動調査の場合も、記録した引用URLを開き、以下の観点で自社ページと見比べることで、同様の分析が可能です。

チェック項目確認する点
見出し構成質問の意図に沿った見出し階層になっているか
一次情報源の明記公式資料・統計データなど根拠となる情報源を示しているか
データ引用の有無具体的な数値・調査結果を本文に含めているか
更新日の鮮度直近で更新された痕跡があるか
quotableな要約文の有無AIがそのまま引用しやすい簡潔な結論文があるか
監修者/著者表記専門性を示す著者名・監修者名を明記しているか
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引用ページのギャップ分析の観点。要素は自社ページと競合ページの比較軸6項目、関係性は対比チェックの構造

AIに引用されやすいコンテンツに共通する要素は、別記事『AIに引用されるコンテンツの共通点とは|3社の仕様から導く5条件』で整理しています。見出し設計やquotableな一文の作り方は『AIOに強い記事構成・文章の書き方|見出し設計とquotableの基本』で解説しています。競合ページとの差分を埋める際にご活用ください。

08チェックリスト

  • 比較対象の競合を3〜5社、選定基準とともに明確にした
  • 通常クエリに加え、比較意図のクエリを質問セットに含めた
  • 手動調査と専用ツール、どちらで進めるかを規模に応じて判断した
  • 使用する指標の定義(Mentions・Citations・Share of Voice等)を1つに固定した
  • 引用されている競合ページの構造を分析し、自社との差分を特定した

09よくある失敗

指標の定義を揃えずに数字だけ比較してしまう。ツールごとにMentions・Citations・Share of Voiceの算出方法は異なるため、A社ツールの数値とB社ツールの数値を単純比較すると誤った結論に至ります。

質問セットが自社目線で、比較クエリになっていない。「〇〇 おすすめ」のような単独クエリだけでは、AIの回答内で競合と横並びに比較されにくく、競合分析としての情報量が不足します。

一度分析して終わり、継続比較をしない。AI検索の回答は日々変動するため、1回だけの計測では自社が優位なのか劣位なのか、傾向として判断できません。

指標の数字だけ見て、引用されたページの中身まで確認しない。数字の差を把握しても、なぜ差がついているかがわからなければ改善アクションにつながりません。

10FAQ

Q. 競合は何社くらい選べばよいですか?

業界の競合と、AI回答上で自社と同じ質問に引用される競合は必ずしも一致しません。まずは実際の回答で引用されている相手を3〜5社特定し、そこを比較対象にするのが実務的です。

Q. 無料の手動調査と有料ツール、どちらから始めるべきですか?

比較対象が少数(3社程度)で、質問数も限られる段階では、手動プロンプト調査で十分に傾向をつかめます。比較対象や質問数が増え、継続的な自動計測が必要になった段階で、専用ツールの導入を検討することをおすすめします。

Q. ツールによって競合のAI Share of Voiceの数値が異なるのはなぜですか?

ツールごとに対応するAIプラットフォームの範囲や、指標の算出方法が異なるためです。複数ツールを併用する場合も、ツールをまたいだ数値の単純比較は避け、同一ツール内での時系列変化を見ることをおすすめします。

Q. 競合が明らかに自社より引用されている場合、何から着手すべきですか?

まず、競合が引用されているページを開き、見出し構成・データの有無・出典の明記状況を確認することをおすすめします。自社ページとの構造的な差分が、改善の優先順位を決める手がかりになります。

Q. 分析の頻度はどれくらいが適切ですか?

手動調査であれば週1回、専用ツールであれば日次〜週次の自動更新を活用する運用が一般的です。AI検索の回答は変動するため、単発の計測ではなく継続比較を前提に頻度を設計することをおすすめします。

11まとめ

競合のAI検索露出分析は、分析設計・手動プロンプト調査・専用ツール活用・引用ページのコンテンツギャップ分析という4段階で進められます。まずは費用のかからない手動調査から着手し、比較対象や頻度を広げる必要が出た段階で専用ツールを検討する順序が、多くの企業にとって現実的です。指標の定義を揃えたうえで比較し、数字の差を放置せず引用されているページの中身まで確認することが、改善アクションにつなげるための鍵になります。

12この分野を体系的に学ぶ

この記事は徹底ガイド記事です。競合のAI検索露出分析を基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「計測・運用編: AIOのPDCAを回す」(V-B 計測ツール実践)をご覧ください。