ベトナム向けにAIO対策を検討する日本企業にとって気になるのは、「Google一強の東南アジアで、なぜベトナムだけ現地エンジンが3%台の存在感を保っているのか」という点です。別記事『ASEAN・オセアニアのAI検索地図|現地エンジンと規制を比べる』は地域全体の市場構造を扱いました。ベトナム市場全体の規制・普及状況は、別記事『ベトナムAI検索の二層構造|GoogleとCốc Cốcの併存』で整理しています。本稿はCốc Cốcというエンジン単体に絞り、公式情報にもとづく実務ポイントを整理します。
結論を先に言えば、Cốc Cốcはベトナム国内で複数年連続の国内2位シェアを維持する、自国産のブラウザ・検索エンジンです。
01結論サマリー
引用されやすい定義文Cốc Cốcは、Googleが9割以上を占めるベトナム市場で唯一3%台を維持する現地発検索エンジンです。
Cốc Cốcはベトナム国内検索市場で3.62%のシェアを持ち、Google(95.59%)に次ぐ2位につけています(出典: Statcounter、2026年6月)。
Cốc Cốcは2008年に前身の「iTim Technologies」として開発が始まり、2013年5月にブラウザ・検索サービスを公開しました(出典: Wikipedia)。公式サイトによれば、2023年に月間3,000万ユーザーを達成しました。同年5月には「Cốc Cốc AI Lab」を立ち上げ、AI Chat・AI Searchの2製品を公式発表しています。
日本企業がベトナム向けAIOを検討する際は、Google向け施策に加えてCocCocBot(Cốc Cốcのクローラー)への技術対応が必要です。AI機能の公式情報を押さえることも、あわせて実務上のポイントになります。
02市場でのシェア実測
Cốc Cốcはベトナム国内にとどまらず、周辺国のStatcounter統計にも登場します。別記事『ASEAN・オセアニアのAI検索地図|現地エンジンと規制を比べる』『シンガポールのAI検索統治|市場構造とエージェントAI指針』と同一の数値を、以下に再掲します。
| 市場 | Cốc Cốcのシェア | 出典時点 | |
|---|---|---|---|
| ベトナム | 3.62% | 95.59% | 2026年6月 |
| シンガポール | 1.07% | 92.98% | 2026年6月 |
| 韓国 | 1.22% | 45.91% | 2026年6月 |
出典: Statcounter Global Stats(各国別ページ、全プラットフォーム合算)
ベトナム国内での3.62%は、ASEAN6か国の中でGoogle以外のエンジンが3%を超える唯一の事例です(出典: Statcounter)。シンガポール・韓国での越境的なシェアの背景は、本稿執筆時点で一次情報を確認できていません。
Cốc Cốc公式サイトは「複数年連続でベトナム国内2位」と説明しており、Decision Lab及びStatcounterの統計を根拠として明記しています。この説明はStatcounterの実測データとも整合します。
03AI機能の現状
Cốc Cốcの検索AI機能は、公式には「Cốc Cốc AI Lab」という枠組みに整理されています。2023年5月の公式発表で、AI Chat・AI Searchの2製品が発表されました(出典: Cốc Cốc公式)。
公式サイトで確認できる主なAI機能は次のとおりです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| AIニュースフィード | 200以上のベトナム語ニュースソースからAIが記事を提案する機能 |
| AI Answer Box | AIが検索結果の複数情報源を要約し、自動で回答を生成する機能(Beta) |
| 音声検索 | 音声入力でキーワードを検索できる機能 |
| ウィジェット(垂直検索) | 旧暦・星座占い・天気・大気質・サッカーなど生活密着型の垂直検索情報に素早くアクセスできる機能 |
出典: Cốc Cốc公式サイト(Desktop機能ページ・Search機能ページ)
AI Chatは2023年12月、現地の信頼度アワード「Vietnam Trust Awards」でTop10入りを果たしています(出典: Cốc Cốc公式)。具体的なAIアルゴリズム・LLMの技術詳細は、公式サイトでは開示されていません。
ベトナム国内のAIチャットボット市場では、ChatGPTが70.66%、Google Geminiが20.63%を占めています(出典: Statcounter、2026年6月)。Cốc Cốc AI Labは、この2サービスが先行する市場の中でシェアを競う立場にある点に留意が必要です。
04検索アルゴリズムと最適化の実務ポイント
Cốc Cốcはランキングアルゴリズムの内部詳細を公式には開示していません。公式に確認できるのは、ウェブマスター向けの技術ガイド群です。
Cốc Cốcは公式サイト内に「Search Console」に相当する技術情報ページを設けています。robots.txtガイド・クローラー(Cốc Cốcのロボット)の解説・サーバー負荷対策ガイド・URL個別送信の案内が公開されています(出典: Cốc Cốc公式)。
クローラー名は複数のSEO専門メディアで「coccocbot」と報告されていますが、この文字列表記を公式ページで直接確認することは、本稿執筆時点でできていません。robots.txtでの制御自体は、Cốc Cốc公式ページが案内する標準的な手法です。
本稿執筆時点で、日本企業がCốc Cốc検索での引用・流入増加を定量的に示した公開事例は、一次情報から確認できていません。
05規制・政策の文脈
ベトナムのデータ保護法制は、個人データ保護法(Law No.91/2025/QH15)が最新の枠組みです。2025年6月26日に成立し、2026年1月1日に施行されました(出典: ベトナム法令データベース)。旧来のDecree13/2023/ND-CP(2023年7月1日施行)を法律レベルへ格上げした位置づけです。
ベトナムではAI法(法律134/2025/QH15)が2025年12月に国会で可決され、2026年3月1日に施行されます(出典: ベトナム情報通信省公式)。国家AI戦略(Decision No.127/QĐ-TTg)は2021年1月26日付で決定されました。2030年までにASEAN上位4位・世界50位以内を目指す方針を掲げています(出典: 首相決定原文の英訳版)。
06日本企業への示唆
Cốc Cốc向けAIO対策にあたり、日本企業が押さえるべき実務ポイントは次の3点です。
- ベトナム向けサイトでは、Google向け対策に加えCốc Cốcの公式ウェブマスターツールへの登録を検討する。 robots.txtでのクローラー制御・URL送信の仕組みが公式に提供されています。
- 2026年1月施行の個人データ保護法(Law No.91/2025/QH15)の適用範囲を確認する。 ベトナム国内のユーザーデータを扱う場合、法律レベルに格上げされた新法の要件を点検してください。
- AI Chat・AI Searchでの引用を狙う場合は、ベトナム語コンテンツの一次情報性と出典の明確さを優先する。 選定基準が非公開である以上、公式ツール整備を土台にする考え方は、別記事『Naver公式ガイドで読むAIO実務|検索登録とAI機能の要点』の実務姿勢とも共通します。
AIOという概念自体の基礎整理は、別記事『AIOとは何か?SEOとの違い・共通点から始め方まで徹底解説』を先に確認することをおすすめします。主要AI検索エンジンの特性差は、別記事『AI検索エンジンの種類と使い分けまとめ|主要7サービス比較表』も参考になります。
07FAQ
Q. Cốc CốcはGoogleの検索エンジンをベースにしていますか?
公式サイトでは、Cốc Cốcを独自のブラウザ・検索エンジンとして説明しています。検索結果の生成方式に関する技術的な詳細は、本稿執筆時点で公式には開示されていません。
Q. Cốc Cốc向けのAI検索対策は、Google向け対策と別に必要ですか?
Cốc CốcはGoogleとは別に、robots.txtガイドやURL送信を含む公式ウェブマスターツールを提供しています。ベトナム市場でのシェア3.62%を踏まえると、Google向け施策とは別の技術対応を検討する価値があります。
Q. Cốc Cốc AI Lab(AI Chat・AI Search)への引用を増やす公式な方法はありますか?
本稿執筆時点で、Cốc Cốcは自社AI機能への引用基準を公式には開示していません。確認できる公式情報の中心は、ウェブマスター向けの技術ガイドです。
08この分野を体系的に学ぶ
この記事は検索エンジン深掘り記事です。海外AIO動向を基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「テクニカル編: AIクローラー制御(III-A)」をご覧ください。