競合5社の強み・弱みを1社ずつ読み込んで整理すると、担当者ごと・日ごとに視点の粒度がばらつきます。5社分の事業概要をまとめてAIに渡せば、同じ基準でSWOTを横並びに整理できます。ただし、AIが持っている一般知識で行間を埋めさせてしまうと、実在しない強み・弱みが紛れ込みます。

01この記事でわかること

  • 競合5社の事業概要をまとめて渡し、各社のSWOT表をAIに一括生成させるプロンプト
  • 入力する情報(5社分の事業概要)と、得られる出力(4象限のSWOT表・情報不足の明示)
  • 生成されたSWOT表を、自社のポジショニング整理や提案資料の下地にどう活かすか

02結論サマリー

5社分の事業概要をまとめて渡せば、AIは同一の基準で強み・弱み・機会・脅威を仕分けられます。このプロンプトが徹底しているのは、事業概要に書かれていない情報を推測で補わせない一点です。SWOTの4象限のうち根拠が見当たらない箇所は、無理に埋めず「情報不足」として残します。5社を横並びで比較できるため、自社の立ち位置を整理する際の土台としても使えます。

使用AIツール: ChatGPT(無料プランの標準チャットで実行できます。5社分の事業概要をテキストとして貼り付けるだけで動作し、Web検索等の追加機能は不要です(2026年7月時点))

引用されやすい定義文

事業概要に書かれていない強みを補って書いた瞬間、それはSWOTではなく願望のリストです。

03課題の整理(なぜ難しいか)

競合5社分のSWOTを人力で作ると、資料作成の後半になるほど手が抜けやすくなります。

  • 1社目は丁寧に分析しても、5社目になると記述量も観点も薄くなりがちである
  • 担当者の主観や思い込みが、特に「弱み」の評価に強く出やすい
  • 事業概要に書かれていない一般的な業界知識で、無意識に空欄を埋めてしまう
  • 表のフォーマットが会社によって微妙に違うと、後で並べて比較しづらい

5社分の事業概要を一括で渡し、同一のルールで処理させれば、この均質化の問題はある程度解消できます。AIに渡す情報を参照テキストの範囲に限定し、そこにない内容を作らせないこと自体は、AIの回答を事実に近づける基本的な手法です。OpenAIのプロンプト設計ガイドも、関連する文脈情報をプロンプトに含める方法を挙げています(出典: OpenAI公式ドキュメント「Prompt engineering」)。入力した情報だけからSWOTを組み立てる本記事の設計は、この考え方に沿ったものです。

04プロンプト本体

競合5社の事業概要が手元にあり、強み・弱み・機会・脅威を横並びで整理したい場面で使います。

あなたは競合分析を専門とするビジネスアナリストです。
以下の入力データのみにもとづいて、各社のSWOT分析を行ってください。

■入力データ
自社名(比較の基準・任意): 【自社名】
競合5社の事業概要: 【競合5社の事業概要】

■分析手順
1. 【競合5社の事業概要】を1社ずつ読み、記載されている情報のみから
   「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4象限に分類する。
2. 事業概要に明記されていない事項は、一般的な業界知識や推測で
   補わず、「情報不足」として扱う。
3. 「機会」「脅威」は、事業概要中の市場動向・自社への言及など、
   実際に記載された事実から読み取れる範囲に限定する。
4. 5社の分析が終わったら、複数社に共通して見られる傾向があれば
   最後にまとめて指摘する。

■出力形式
会社ごとに以下の表を作成してください。
| 区分 | 内容 | 根拠(事業概要中のどの記述か) |
情報不足の区分がある場合は空欄にせず「情報不足」と明記すること。
5社分の表の後に、「5社共通の傾向」を3行以内で追記すること。

■制約
- 【競合5社の事業概要】に書かれていない情報を、外部知識や
  一般論で補完しないこと。
- 非公開の内部情報(実際の財務数値・人事情報等)を推測して
  記載しないこと。
- 各社を否定的に断定する表現(「劣っている」「失敗している」等)
  を避け、事業概要中の事実にもとづく記述にとどめること。

使う変数

変数説明入力例
【自社名】比較の基準として示す自社の名称(任意)株式会社サンプル(架空例)
【競合5社の事業概要】各社の公開情報(採用ページ・IR資料等)から要約した事業概要5社分(5社分の事業概要テキストをここに貼り付け)(架空例)

※入力例はすべて架空の例です。

📊 図解制作中
5社分の事業概要を入力し、AIが4象限のSWOT表を一括生成するまでの処理フロー。要素は「5社分の事業概要の貼り付け」「AIによる4象限への分類」「情報不足の判定」「5社分のSWOT表の出力」の4ステップ。関係性は入力から出力までの直線フロー

05出力の見方と分析の観点

出力された5社分のSWOT表は、まず「情報不足」の分布から確認します。

  • 情報不足が多い企業: 事業概要の記載自体が薄い可能性があり、追加情報の収集を検討する対象です
  • 5社共通の「機会」欄: 業界全体のトレンドを示している可能性が高く、自社の戦略検討にも転用できます
  • 「脅威」欄の記述の粒度: 企業によって粒度が大きく違う場合、元の事業概要の情報量の差を反映していることがあります
📊 図解制作中
SWOTの4象限マトリクスに「情報不足」の扱いを重ねた図。縦軸にプラス影響/マイナス影響、横軸に内部要因/外部要因を置いた2×2のマトリクスとし、各象限の隅に「根拠が事業概要にない場合は情報不足と表記する」というルールを添える。関係性は4象限の分類構造

競合のAI検索での見え方を横断的に調べたい場合は、別記事『競合のAI検索露出を分析する方法|無料手順と専用ツール比較』もあわせてご覧ください。

06応用パターン

応用1: 自社を6社目として同じ表に含める

【自社名】欄を空欄にせず、自社の事業概要も6社目として【競合5社の事業概要】に追記すれば、自社を含めた横並びのSWOT比較ができます。

応用2: 数を絞って深掘りする

5社全部ではなく、主要な競合2〜3社に絞って実行すれば、各社の記述量を増やし、より深い分析に振り切ることもできます。

07注意点

事業概要の記述量が会社によって偏っていると、SWOT表の充実度もそのまま偏ります。情報が薄い企業ほど「情報不足」の行が増える設計のため、その企業が実際に弱いという意味ではありません。

AIの出力には誤りが含まれる場合があります。特に「機会」「脅威」の解釈は、そのまま使わず一次情報で裏取りしてから採用してください。

未公開の財務情報や人事情報など機密性の高いデータを事業概要に含める場合は、利用中のAIサービスの法人プラン・データ学習利用設定を事前に確認してください。

生成したSWOT表を提案資料や社外資料に転用する際は、利用しているAIサービスの利用規約の範囲内で行ってください。

同じ入力を渡しても、実行のたびに象限の振り分けや文言が変わることがあります。重要な判断に使う際は、複数回実行して共通して現れる項目を優先することをおすすめします。

08FAQ

Q. 競合が5社より多い、または少ない場合はどうすればいいですか?

5社という数に厳密な意味はありません。【競合5社の事業概要】に含める企業数を増減させても、同じプロンプトのまま実行できます。ただし一度に渡す企業数が多すぎると、1社あたりの分析が薄くなりやすい点には注意してください。

Q. 事業概要はどこから集めればいいですか?

各社の採用ページ・IR資料・公式の会社紹介ページなど、公開されている一次情報から要約することをおすすめします。非公開情報や又聞きの情報は含めないでください。

Q. 「情報不足」ばかりになってしまう場合はどうすればいいですか?

事業概要の記述量が少なすぎる可能性があります。各社の事業概要を、最低でも事業内容・強みとして語られている点・直近の動きが分かる程度の分量まで補ってから再実行することをおすすめします。

09この分野を体系的に学ぶ

この記事は実践プロンプト記事です。業界別のAIO戦略を基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「実践応用編: 業界別AIO戦略(VI-A)」をご覧ください。