引用されやすい定義文

韓国は、世界の主要市場の中でも珍しくGoogleが検索市場を独占していない国です。

自国検索エンジンNaverがGoogleとほぼ並ぶシェアを維持し、AI検索機能も自社主導で展開しています。

本記事は、Statcounterの実測データとNaver・韓国政府の公式発表にもとづき、韓国のAI検索対策で押さえるべき市場構造と規制環境を整理します。

01結論サマリー

韓国は、測定方法によって結論が変わる、世界でも珍しい検索市場です。Statcounter調べではGoogleが45.91%、Naverが43.68%と拮抗しますが、韓国内の実ログ指標では逆にNaverが優位です(詳細は次章)。

Naverは2026年6月26日、会話型AI検索機能「AI Tab」を全ユーザー向けに正式展開しました(出典: Naver公式)。一方、AI検索での引用増加を数値で示した定量的な公開事例は確認できていません。定性的な取り組み紹介は現地マーケティングメディアに存在します。

韓国では2026年1月22日、AI関連の包括的な法律「AI基本法」が施行され、リスクベースの規制が始まっています(出典: 韓国国家法令情報センター)。日本企業は、Google対策だけでなくNaver独自のアルゴリズムと規制環境の両方を理解する必要があります。

02検索エンジン市場の実態(シェア実測)

Statcounterの実測データによると、韓国の検索エンジン市場は次のような構成になっています(2026年6月・全プラットフォーム合算)。

検索エンジンシェア
Google45.91%
Naver43.68%
Bing6.28%
Coccoc1.22%
Yandex1.14%
Daum1.14%

なお、Daumを運営してきたKakaoのポータル部門は2026年5月にAI企業Upstageへ移管されています。詳細は別記事『Daum運営移管で変わる韓国検索|Kakao・Upstageの現在地』を参照してください。

世界的にはGoogleが90%以上を占める市場が大半である中、韓国はGoogleとNaverが拮抗する数少ない例外です。Statcounter基準で2ポイント差というGoogleとNaverの僅差は、韓国のAIO対策がGoogle一辺倒では成立しないことを示しています。

ただしこの「拮抗」はStatcounter基準の数値であり、韓国国内の実アクセスログ指標(InternetTrend)ではNaverが60%超で優位という調査もあります。Naver自身もStatcounter数値の実態乖離について公に異議を唱えています。両者の違いは、Statcounterがトラッキングコード設置サイトのPV集計、InternetTrendが国内主要サイトの実アクセスログという測定方法の差に起因します。測定方法によって結論が大きく変わる市場である点には注意が必要です。

韓国の検索エンジン市場シェアの構成比 Googleが45.91%、Naverが43.68%と拮抗し、Bing 6.28%・その他3.5%が続くドーナツ型の構成比図。出典はStatcounter(全プラットフォーム合算・2026年6月)。 SHARE 韓国の検索エンジン市場シェアの構成比 全プラットフォーム合算・2026年6月 Google 45.91% Google 45.91% Naver 43.68% Bing 6.28% その他 3.5% 出典: Statcounter(全プラットフォーム合算・2026年6月)
韓国の検索エンジン市場シェアの構成比

03AI検索の普及状況

Naverは2023年9月から会話型AI検索サービス「Cue:」を実験提供していましたが、2026年4月にClova Xとともにサービスを終了しました(出典: 現地報道各社)。後継として位置づけられるのが「AI Tab」です。

Naver公式発表によると、AI Tabは検索意図を理解したうえでショッピング・場所探し・予約などの実行可能なアクションへ誘導する「行動指向型AIエージェント」です。ベータ版は約2か月で400万ユーザーを獲得しました。正式版はNaverメインページの平均日次訪問者5,000万人が1クリックでアクセスできる形で展開されています(出典: Naver公式、2026年6月26日)。

ChatGPTやGeminiなど海外AI検索サービスの韓国国内での利用実態については、本稿執筆時点で信頼できる一次データを確認できていません。

04現地の取り組み・実例

※本稿執筆時点で、AI検索での引用増加を数値で示した定量的な公開事例は一次情報で確認できません。定性的な取り組み紹介は現地マーケティングメディアに存在します。この点は正直にお伝えします。

代わりに確認できるのは、プラットフォーム・政府レベルの動きです。Naverは検索・地図・予約機能をAI Tabに統合し、検索結果内で行動を完結させる設計を進めています。韓国政府はAI基本法を通じて、生成AIコンテンツへのラベル表示義務など、AI活用の透明性を求める規制を敷いています(出典: 韓国国家法令情報センター)。

韓国のAI検索を巡る主な動きの時系列 2023年9月Cue:ベータ開始→2025年1月AI基本法公布→2026年1月22日AI基本法施行→2026年4月Cue:・Clova X終了→2026年6月26日AI Tab全面展開、の5点のタイムライン。 TIMELINE 韓国のAI検索を巡る主な動きの時系列 2023年9月 Cue:ベータ開始 2025年1月 AI基本法公布 2026年1月22日 AI基本法施行 2026年4月 Cue:・Clova X終了 2026年6月26日 AI Tab全面展開
韓国のAI検索を巡る主な動きの時系列

05規制・政策

韓国は2026年1月22日、AI関連の包括法「AI基本法」を施行しました(出典: 韓国国家法令情報センター)。正式名称は인공지능 발전과 신뢰 기반 조성 등에 관한 기본법(AI発展と信頼基盤造成等に関する基本法)です。同法は2025年1月21日に公布され、1年間の準備期間を経て全面施行されています。

同法はリスクベースアプローチを採用し、医療・エネルギー・公共サービスなど「高影響AI」に分野別の義務を課しています。一部の生成AIコンテンツにはラベル表示も義務付けられています。施行後1年間は行政制裁金より是正指導を優先する猶予期間が設けられています。

韓国はEUに次いで世界2番目に包括的なAI法制を持つ国となりました。日本企業が韓国向けにAI生成コンテンツを配信する場合、ラベル表示義務の対象範囲を事前に確認する必要があります。

06日本企業への示唆

韓国市場でのAIO対応にあたり、日本企業が押さえるべき実務ポイントは次の4点です。

  1. Google対策とNaver対策を並行させる。GoogleとNaverのシェアがほぼ並ぶ以上、Google向けの構造化データ対策だけでは韓国市場の半分をカバーできません。AI検索エンジンの種類ごとの特性は、別記事『AI検索エンジンの種類と使い分けまとめ|主要7サービス比較表』も参考になります。
  2. AI Tabのような行動指向型AI検索を意識する。検索結果内で予約・購入まで完結する設計は、ゼロクリック化の一形態です。ゼロクリック時代の投資配分の考え方は、別記事『ゼロクリック時代の3類型戦略【経営視点の投資配分と撤退基準】』で解説しています。
  3. AI基本法のラベル表示義務を確認する。韓国向けにAI生成コンテンツを配信する際は対象範囲を事前確認します。信頼性シグナルの設計思想は、別記事『生成AI時代のE-E-A-T再定義|4要素の意味と実装ポイント』も参考になります。
  4. Naver検索への登録・診断はNaver Search Advisor(ウェブマスターツール)から行えます。韓国向けサイトはGoogle Search Consoleと併せて登録を検討してください。

Naver向けの実務対策をさらに深掘りした内容は、別記事『Naver公式ガイドで読むAIO実務|検索登録とAI機能の要点』で解説しています。

AIOという概念自体の基礎整理は、別記事『AIOとは何か?SEOとの違い・共通点から始め方まで徹底解説』を先に確認することをおすすめします。

07FAQ

Q. 韓国でSEO対策をする場合、Googleだけで十分ですか?

十分ではありません。Naverが43.68%のシェアを持つため、Google向け対策だけでは韓国市場の半分近くをカバーできません(出典: Statcounter)。Naver独自のアルゴリズム傾向を理解した対策が必要です。なお韓国国内の実ログ指標ではNaverのシェアはさらに高く、測定方法により数値が大きく変わる点に注意してください。

Q. 韓国版のAI Overviewsのような機能はありますか?

Naverが2026年6月26日に全面展開した「AI Tab」が該当します。検索意図の理解から行動の実行までを担う機能として位置づけられています(出典: Naver公式)。

Q. AI基本法は日本企業にも適用されますか?

韓国国内でAIサービスを提供する事業者が対象です。適用範囲の詳細は事業形態によって異なるため、韓国向け事業を計画する際は専門家への確認をおすすめします。

08この分野を体系的に学ぶ

この記事は国・地域プロファイル記事です。海外AIO動向を基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「事例編: ケーススタディ徹底分析(VI-C)」をご覧ください。