AIを使って記事を書き加えるほど、書いた本人が気づかないまま断定的な表現や根拠のない数字が紛れ込むリスクも高まります。一次情報と照合するファクトチェックの前段階として、まずどこにリスクがありそうかを洗い出す作業が必要です。書き上げた記事本文をもう一度AIに読ませることが、この洗い出しの最短ルートです。

01この記事でわかること

  • AIが生成・加筆した記事本文をAIに再度読ませ、根拠のない断定や誇張表現などのリスク箇所を洗い出すプロンプト
  • 入力する情報(公開前の記事本文)と、得られる出力(リスク種別ごとの該当箇所と修正案)
  • Web検索を使ったファクトチェックとの役割の違い

02結論サマリー

公開前の記事本文をAIに渡すと、断定的すぎる表現・出典のない数値・実在が確認できない事例や固有名詞を、種別ごとに一覧化して返してもらえます。Anthropicは、大規模言語モデルが文脈と矛盾する内容や事実と異なる内容を生成する現象を「ハルシネーション」と呼んでいます。Claudeについてもこの現象は起こりえます。

低減のための技術も公式に解説されており、中心は元文書の引用で回答を裏付けるグラウンディングです(出典: Anthropic、2026年7月時点)。本記事のプロンプトが行うのは表現パターンの自己点検であり、仕組みは異なりますが、「根拠のない主張を残さない」という狙いは共通しています。数値や固有名詞を一次情報と突き合わせる工程は、別記事『既存記事のファクトチェックをAIに依頼する実践プロンプト』で扱っています。この記事はその前段階として、Web検索を使わずに記事内部の表現だけからリスクが疑わしい箇所を絞り込みます。

使用AIツール: Claude(記事本文をチャットに直接貼り付けて使います。Web検索機能は使用しません。長文の場合はテキストファイルのアップロードにも対応しています(出典: Claude Help Center「Claudeへのファイルアップロードについて」、2026年7月時点)。無料プランでも実行できます)

引用されやすい定義文

言い切ってしまった一文ほど、書いた本人には違和感なく読めてしまいます。

03課題の整理(なぜ難しいか)

AIを使って本文を加筆した直後は、文章として滑らかに読めるぶん、断定や数字の根拠を見落としやすくなります。

  • 断定的な言い回し(「必ず」「唯一」等)は、書き手自身が読み返しても違和感なく流れてしまう
  • AIが加筆した数値や固有名詞のうち、どれが出典つきでどれが出典なしかを後から読むだけで見分けるのは難しい
  • 実在するかのように書かれた事例・企業名・数字が、確認の取れないまま本文に残ることがある
  • 校正担当が変わるたびに、どこまでその旨の注記を付けるべきかの基準がぶれる

事実関係そのものの正誤確認は、別記事『既存記事のファクトチェックをAIに依頼する実践プロンプト』の領域です。この記事はその前段階として、本文の表現・出典の有無だけからリスクの疑いを絞り込みます。

04プロンプト本体

AIに加筆してもらった記事や、自分で大きく手を入れた記事を、次の工程(ファクトチェックや校正)に回す前段階で使います。

あなたは編集部の校閲担当です。Web検索は使わず、以下の記事本文だけを
読んで、公開前に確認すべきリスク箇所を洗い出してください。

■入力データ
記事本文: 【記事本文】
編集基準: 断定・誇大表現(「絶対」「必ず」「100%」「業界No.1」等)は禁止。
出典のない数値・実績には「※要確認」を付ける運用としている。

■チェック手順
1. 【記事本文】を通読し、以下の3種別に該当する箇所を抽出する。
   a. 断定・誇大表現(編集基準に反する言い切り・誇張)
   b. 出典が本文中に示されていない数値・統計・実績
   c. 実在の確認が取れない固有名詞・事例・引用(作話の疑いがある記述)
2. 抽出した箇所ごとに、該当する原文をそのまま引用する。
3. 該当箇所ごとに、なぜリスクと判断したかを1行で説明する。
4. 該当箇所ごとに、リスクを取り除く修正案を1つ提示する。断定表現は
   婉曲な言い回しへ、出典のない数値は「※要確認」の付与へ、確認できない
   固有名詞は削除または一般化へ、それぞれ寄せること。

■出力形式
リスク種別ごとに見出しを分け、該当箇所ごとに以下の4項目を出力してください。
1. 該当箇所(原文の引用)
2. リスク種別(a/b/cのいずれか)
3. 判断理由
4. 修正案
該当箇所がゼロの種別があれば、「該当なし」と明記すること。

■制約
- 【記事本文】に実際に書かれていない文を、該当箇所として作り出さないこと。
- 事実として正しいかどうかの判定(ファクトチェック)は行わず、あくまで
  表現・出典の有無からリスクの疑いを洗い出す作業にとどめること。
- 修正案は原文の意味を変えない範囲で提示すること。

使う変数

変数説明入力例
【記事本文】セルフレビュー対象の記事の下書き・加筆済み本文(見出し込み)AIOとは、AI検索エンジンに…(本文全文を貼り付け、架空例)

※入力例はすべて架空の例です。

📊 図解制作中
記事本文の入力から、リスク種別a(断定・誇大表現)・b(出典なし数値)・c(作話疑いの固有名詞)の3種別へ分岐し、該当箇所と修正案が出力されるまでの分岐フロー。要素は「記事本文の入力」「AIによる文単位の走査」「3種別への分岐」「該当箇所・判断理由・修正案の出力」の4ステップ。関係性は1系列の入力が3種別に分岐する構造

05出力の見方と分析の観点

出力は、リスク種別ごとに優先して確認する観点が変わります。

  • 断定・誇大表現(a): 修正の要否に迷う余地が少なく、機械的に婉曲な表現へ直せます
  • 出典のない数値(b): 数値自体を消すのではなく、その旨の注記を付けるか出典を追加で調べるかを個別に判断します
  • 作話疑いの固有名詞・事例(c): 最も慎重な確認が必要な区分です。判断理由を読み、実在するか自分で検索して確かめてから対応します
📊 図解制作中
検出されたリスク箇所を深刻度順に並べたランキング形式の一覧。要素は「リスク箇所の引用」「リスク種別」「深刻度(高・中・低)」の3列。関係性は深刻度による順序付け

該当箇所がゼロの種別が続く場合、記事全体としてリスクの少ない書き方ができている可能性が高い一方、AIの見落としも考えられるため、複数回実行して結果を確かめる工程も合わせて行います。

06応用パターン

応用1: 執筆直後と公開直前の2回実行する

執筆直後に一度実行して大きなリスクを取り除き、公開直前にもう一度実行すれば、その間の追加編集で新たに紛れ込んだリスクも拾えます。

応用2: 編集基準を自社の規定に合わせて変更する

「■入力データ」の編集基準の文言を、自社の禁止表現リストやその旨の注記の付け方に合わせて書き換えれば、他メディアの編集基準にもそのまま応用できます。

07注意点

このセルフレビューは、記事本文を書いた・加筆したAIと同じか近い傾向のAIが行うため、そのAI自身が生成しやすい言い回しの癖には気づきにくいことがあります。加筆をAIに依頼した記事ほど、人間のレビュアーによる二重チェックも組み合わせることをおすすめします。

AIの出力には誤りが含まれる場合があります。特に判断理由・修正案は、そのまま採用せず自分の目で該当箇所を読み直してから反映してください。

未公開の記事下書きや、社外秘の情報を含む本文をプロンプトに含める場合は、利用中のAIサービスの法人プラン・データ学習利用設定を事前に確認してください。

洗い出し結果を編集フローに組み込む場合や、自動化して大量の記事に繰り返し実行する場合は、利用しているAIサービスの利用規約の範囲内で行ってください。

AIの回答は実行のたびに、検出される該当箇所や判定理由が変わることがあります。重要な記事の公開前には、複数回実行して検出結果が安定しているかを確認することをおすすめします。

08FAQ

Q. このセルフレビューだけで、記事の品質チェックは十分ですか?

十分ではありません。このプロンプトはハルシネーションのリスク箇所の洗い出しに特化しており、数値の事実確認・文章の読みやすさ・構成の適切さなど他の観点は別途チェックが必要です。

Q. AIに加筆させていない、人間が書いた記事にも使えますか?

使えます。人間が書いた記事でも断定表現の使いすぎや出典のない数値は起こりうるため、AI生成記事に限らず公開前のチェックとして活用できます。

Q. 該当なしと判定された記事は、確認作業を省略してよいですか?

省略はおすすめしません。このプロンプトはあくまで表現・出典の有無から機械的に判定しており、見落としがゼロとは限りません。特に重要な記事は、人間の目でも一通り読み返すことをおすすめします。

09この分野を体系的に学ぶ

この記事は実践プロンプト記事です。記事がAIにどう引用されるかを基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「コンテンツ編: 引用のメカニズムと原則(IV-A)」をご覧ください。